業界研究・仕事研究・企業研究について

01業界研究の目的と進め方

就職活動を進めるにあたり、業界研究に取り組むことは、自己分析と同等に重要です。業界研究の目的は、①自分は何に関心があるのかを再確認するために、関心を持っているモノ・コトに関連する業界を知ること、
②自分の関心がある業界が、産業界全体のどのポジションにあるのかをしっかり把握するために行います。

また、業界研究の進め方においては、以下の4つのポイントが重要です。
①最初から一つの業界に絞り込まず、幅広く情報を集める
②業界の「これまで」と「これから」を知る
③情報をきちんと整理する
④実際に仕事場に行ってみる

自分の目と耳を使って、情報を集め興味や関心のある業界を絞り込んでみましょう。

02仕事(職種)研究の目的と進め方

業界研究と同時に仕事(職種)研究も進めましょう。仕事・職種研究の目的は、①自分は何がやりたいのかをしっかりと考える上で、職種を理解し、把握しておくため、②企業ごとに同じ職種名でも、仕事内容が違う場合があるために行います。

また、「会社に入ったら何ができるのか?」「自分に向いている仕事はどんなことか?」を思い描くことも仕事研究の一つです。

入社後のミスマッチを防ぐためにも、自分にあった職種や仕事を見つけることが重要です。

03職種は4つに分けられる

職種は、大きく4つ(事務職、技術職、専門職、営業職)に分けられます。それぞれの職種は、下表を参考にしてください。

事務系の職種 人事、労務、総務、経理、販売促進、広告、宣伝、マーケティングなど
技術系の職種 SE(システムエンジニア)、プログラマー、生産管理、品質管理、生産技術、設計、積算、施工管理、研究など
専門系の職種 秘書、教員、キャビンアテンダント、記者、デザイナー、オペレーター、カウンセラー、弁護士、税理士など
営業系の職種 営業、販売、MR、セールスエンジニアなど
業界研究・仕事研究

04情報整理のコツ
〜メモを取ることを習慣化しよう〜

業界研究や仕事研究、企業研究を進めていくうえで、気になった情報や思いついたことを日頃からメモしておくと、情報を整理することに役立つだけではなく、思わぬところで新たなアイデアやヒントに発展することがあります。また、メモを習慣化することで観察力や話の要点をまとめる力(サマリー能力)が身につきます。学んだことや体験したことの反省や振り返りのメモは、ノウハウが蓄積されて自分だけのデータベースになります。(ネガティブなことも、次はこうしようと考えることでポジティブに)また、メモは後で読み返したくなるように書くことも大事です。

メモをとるタイミングは、①参考になることを見つけた時(本や新聞の記事、問題解決のヒント)、②何かを見つけた時、③疑問を持った時(気になったことを後で調べる)、④成功・失敗をした時(要因や原因をメモしておく。実体験から得たノウハウは貴重な財産)などが挙げられます。

05情報整理のコツ
〜集めた情報の整理法〜

集めた情報を整理(ファイリング)して、不要なものは廃棄するという習慣を学生時代から身につけておくと、社会人になってからの仕事の進め方にも役立ちます。ファイリングの方法は人それぞれですが、選択するコツは、①自分にあった方法か(続けていけるかどうか)、②すぐに取り出して活用できるか(調べることや考察することには時間をかけても探すことには時間をかけない)、③情報がニーズに対応しているか(必要ないものは収集しない)。必要なくなったものは廃棄するをポイントにしてみましょう。

❶キーワードを持つ

・情報におぼれないようにキーワードを持ち、引っかかるものだけを収集する。
・キーワード毎にフォルダーを用意する。

❷情報ピックアップ

・読みながらマーキング
・情報の出どころはその都度メモ
・いきなりファイルせず、一時預かり場所へ

❸テーマ別整理分類

・情報のピックアップで残った情報だけをテーマ別にファイル
・ファイリングの方法は、内容や用途に合わせてノート、カード式、ルーズリーフ、クリアファイルなど

❹定期的な整理と廃棄

・定期的なファイリング、見返し、整理、廃棄を繰り返す。
・思い切りも大切、「いつかは見るかも」と思っても「見ない」ことが大半。

06企業研究について

自分に合った企業を見つけるためには、企業についてしっかり研究することが大切です。先入観やイメージだけで判断しないよう、様々な要素から企業を調べ、総合的に把握しましょう。

調べる項目を持っておくと、複数の企業の比較検討ができます。

創業者の思いや歴史、社風、ビジネスモデルは、企業選びの重要なポイントです。

企業研究で得た情報を自己PRに活用しましょう。

07企業の様々な「顔」を知る

企業の情報を得ることで、その企業が自分に合うかどうか判断しやすくなります。また、調べる項目を持っていることで、複数の企業の比較検討も出来ます。

●企業を理解を知る手がかり
経営理念 事業を展開していく上で、基本となる考え方のこと。この経営理念に共感できなければ、企業の進む方向性と自分の価値観が合わないというミスマッチが生じる可能性があります。企業を知る上で、まずどのような経営理念を持っているのか理解しましょう。
事業内容 企業は多くの事業を手掛けています。その中でも、どれが中核事業なのかを確認しておきましょう。また、企業の売上高とそれぞれの事業が占めている割合も把握しておきましょう。
沿革 企業の成長過程を確認することができます。どの時期にどの分野に力を注いで現在に至るのか、企業の歴史を知ることで、今後の事業の方向性を探ることも可能です。
社員数 社員数と表示されている場合は、正社員数を指していますが、従業員数の場合は、契約社員やアルバイトを含んでいることもあります。男女比や平均年齢も調べておくとよいでしょう。
創業者の思い
創業精神・社風
創業精神(創業者の思い)とは、「企業が社会に何を提供し、何を大切にして仕事をするか」を言葉にしたものです。
社風とは、経営陣の考え方や社員意識が表れ、組織全体の特徴のようなものです。自分の職業観や人生観を確立させてフィーリングの合う企業を選びましょう。
ビジネスモデル ビジネスモデルとは、企業がお金を生み出す仕組みのことです。ビジネスモデルを見ることによって、企業がどのように価値を創出し続けているのかが明らかになります。

●特に企業の歴史を学ぶことは大切!

日本には、約430万の企業があり、そのうち420万社は中小企業です。(全体の99%)そして、50年以上続いている企業は約21万社(全体の5%)、100年以上続いている企業は約2万社(全体の0.5%)です。

このデータから、企業が存続することはとても難しいことがわかります。企業の歴史を学ぶことで、その会社が今日に至るまでに様々な困難を乗り越えてきたことが分かります。

●「創業者の思い」「創業の精神」は事業の軸になっている

そもそも、会社組織とは2つの定義を持っているところです。

①世の中に価値を提供し利益を得る組織
②トップや創業者の思いを、働く人の力を借りて実現している

つまり、就職したいと思っている企業があれば、その会社がどのように歩んできて、創業者や経営者がどのような思いでこれから歩んで行こうと思っているかを知ることはとても大切です。社員一人一人がぶれないように仕事をするための「軸」になっているのが、経営理念や「創業者の思い、創業の精神」です。
「創業者の思い」や「創業の精神」は自分が「どのような仕事に就きたいか」「何をしたいか」を考えるだけでなく、それを「どこで実践、実現したいか」を明確にするために必要です。

08社風を知る

社風は、創業者や社員が築き上げてきた価値観、風土、仕事の進め方など、その会社ならではの特徴であり、企業のアイデンティティでもあるので、そう簡単に揺らぐことはありません。普段の人間関係でも、相性の良い人と悪い人にわかれると思います。相性のいい人と一緒に過ごしていると何でも楽しく取り組めて気持ちもイキイキします。これは、企業でも同様です。社風が合わないと、居心地が悪く仕事がはかどらなくなってしまいます。
(例)上司と部下の関係性という社風
A社…上司も部下も対等な関係で新入社員でもどんどん意見が求められる。
B社…上司と部下の上下関係がはっきり分かれていて、上司の指示は絶対的。確実にこなさなければいけない。

このような社風の違いは業界や職種が同じであっても起きることです。WEB情報だけでは得られないことが多く、深く企業研究をすることが求められます。

社風を知るための3つの方法

❶インターンシップに参加する
❷OB・OG訪問、会社訪問をする
❸会社説明会に参加する

09ビジネスモデルから見る企業研究

企業がお金を生み出す仕組みが「ビジネスモデル」です。自分が働く目的を明確にすることで、企業の「ビジネスモデル」に携わった仕事ができ、大きなやりがいを感じることにつながります。

(例)「安定性を求めたい場合」…今後もお金を生み出せる仕組みになっているかを吟味してそのような企業を選択する。

「社会の問題点を解決したい場合」…社会問題を解決できる仕組みに共感できる企業を選ぶ。

このように企業の在り方は様々です。将来、起業したいと思っている人は、多くのビジネスモデルを見ることによって、新たなアイデアの発見に繋がります。また、多くのビジネスモデルを学習しておくことで、脳が柔軟になり、新しいビジネスの立案など、クリエイティブに物事を考えられるようになります。自分がどのような目的で働きたいかが明確になったら、企業のビジネスモデルを見てみるととても勉強になります。そこで、ビジネスモデルに共感出来れば、それはあなたに合った企業の可能性が高いのです。

10企業研究をするために重要なこと

企業研究は単に会社を詳しく調べることが目的ではありません。
「自分は何のために働きたいか」を明確にしていないと、実際に働いたときに「こんなはずじゃなかった」「仕事がつらい」と思うことになります。
「自分が何のために働きたいのか」を明確にして企業研究を行いましょう。自分の価値観に合った仕事選びをすることが今後の人生の歩み方に影響します。

企業研究をするために重要なこと

このステップで就職活動を進めていけば、自分が働きたいと思う企業に必ず出逢うことができます!

大西先生のワンポイントコラム
就活ノートの作り方「企業編」

就活ノートは、自己分析とともに企業の情報を分析するために活用しましょう。
企業情報は、
・企業のWEBサイト
・企業が作っているパンフレット
・就職情報サービス(リクナビやマイナビ)に掲載されている企業情報
・会社説明会に参加して得た情報
・OB・OG訪問で得た情報 など
様々な媒体や機会を通して収集することができます。
しかし、ただ集めているだけでは何の意味もありません。
まとめ方や記録のしかたは様々ですが、集めた情報を志望動機や希望職種などをアピールするためにつなげていきます。

まとめ方の例としては…

①1社の情報を様々な媒体や機会から入手し、その会社についてとことん理解する。
②興味や関心を持った複数の企業の情報を比較するためにまとめる。

①については、以下のような工夫をすると、履歴書やエントリーシートを作成がスムーズです。
・どの媒体や機会から入手した内容であるかを明記しておくこと。
・重要な箇所にはアンダーラインなどで際立たせておくこと。
②については、特に自分自身が検討したい項目を絞り込んでまとめると、比較検討がしやすくなります。
・企業理念、トップのメッセージなどで比較
・OB・OG訪問の際に行った質問項目で比較
・ビジネスモデルで比較

企業情報をまとめる目的は、情報を集めることではなく、〝この会社で働きたい”と思える決め手を見つけ出すためです。
自己分析も企業情報も、1冊のノートにまとめておくと、応募資料の作成がスムーズに行えます。

Copyright©2020 shimane-shukatsu.com All Rights Reserved