自己分析とは、これまでの人生を振り返りながら、「自分が何を大切にしているのか?」「自分は何に興味があるのか」「自分は何に向いているのか?」などを納得いくまで考え抜くことです。相手に自分のことを伝えるためには、自分について深く考えて、相手が理解できるように整理しておく必要があります。
就職活動は、多くの企業の中から、自分に合う会社を探し、その会社に自分の強みをアピールしていくプロセスです。その中で最も大切なのは自己分析です。それは、就職活動の全てのプロセスの中心に、自己分析があるからです。自己分析がしっかりできていれば、業界や企業を選ぶとき、エントリーシートを書くとき、また面接試験のときにも自信を持って自分自身のことを伝えることができます。自己分析を深めていくことは、限られた時間の中で、本当に自分に合った就職先を見つけるコツでもあります。
説得力のある自己PRを行うために自己分析は大切
自分の軸がはっきりし、積極的に就職活動を進めることができる
目的やポイントを押さえ、出来るだけ早く取りかかろう!
自己分析は簡単に正しい解答が得られるものではありません。自分の視野が広がれば広がるほど、今までの自分の考え方も変わってきます。就職活動を続けていく中で、経験したこと、出会った人や、多くの人たちから聞いた話などに影響を受ける機会が増えてきます。自分の価値観や興味、関心も変わってくるかもしれません。反対に、自分の進む方向が分からなくなったり、自信を失うこともあります。そんなときこそ、自分自身に向き合って、繰り返し自分について考えることは大切です。
また、自分ひとりで考えるのではなく、友人や家族、アルバイト先の人たちなどに話を聞いてもらったり、アドバイスをもらうことも、自分を知るための機会です。今の自分に何が必要なのかを、どうすればよいのかを見つけることも、自己分析なのです。
4つのステップで自己分析を進めていこう
過去から現在までの出来事を書き出してみる
・幼いころから自分がどのようなことに興味を持っていたか?
・夢中になったことは何か?
・得意だったこと、苦手だったことは?
・学業以外に行った習いごと、アルバイトなど自分が経験してきたこと
・様々な経験を通して学んだことや強く印象に残っていることなど
現在の自分の価値観、職業観を考える
・自分自身が大切にしていること
・何か物事を進めるときに譲れないこと
・何のために働くか
STEP1の内容をもとに考えてみると、大切なことや譲れないことが明らかになってきます。
企業はあなたの仕事に対する姿勢や価値観、人柄を知りたいと思っています。自分の軸をしっかり持つためにも、価値観や職業観を考えることは必要です。
現在の自分の長所・短所を考える
就職活動では、まず「出来ること」をきちんと伝えることが大切です。そのためにも、自分の長所、短所、得意なことや苦手なことを考え、その根拠を明確にしましょう。
長所と短所は裏返しです。短所にばかり目が行ってしまう場合は、家族や友人に聞いてみるなどして、自分自身の長所を見つけましょう。
将来の夢、理想の自分を考える
こんな社会人になりたい、3年後、5年後はこんな人になっていたい(仕事をしていたい)など、将来の夢や理想を具体的に持つことが大切です。
具体的なイメージがわかない人は、理想の人や憧れの人を分析してみましょう。
就職活動を始めた多くの学生が活動を進める中で、「自分は何がやりたいのかわからない」と悩む様子を見てきました。そして、やりたいことを探し始めて、考え込んでしまい、就職活動が前に進まなくなり、「やりたいことがない自分はダメな人間だ」など自己否定したり、自信を失ってしまうケースも少なくありません。
「やりたいこと」を見つけるのは、人生においてとても重要ですが、そう簡単に「やりたいこと」は見つかりません。
やりたいことではなく、「出来ること」「上手くいきそうなこと」を見つけると自己分析が進み出すことが多いと思います。
自分の過去の経験から「感情のくせ」や「価値観」を抽出してやりたいこと(のヒント)を手に入れる
同じように、自分の過去の経験から「出来ること(知識/スキル)」「出来ないこと(苦手意識)」を抽出し、「上手くいきそうなこと」を決める
やりたいことは、感情に左右されやすいため「感情のくせ」や「価値観」という自分の感情をコントロールしていることを探ると見つけ出しやすくなります。一方、上手くいきそうなことは、自分の「出来る(得意なこと)」や「出来ない(苦手なこと)」といった能力や経験によって見つけ出すことができます。
・自分がどんなときに楽しいと感じるのか?
・自分がどんなときに落ち込むのか?
など、喜怒哀楽が動く際の共通点を探すことです。
自分の感情のくせを知っておくことは、日々の生活のパフォーマンスを高水準に保つ上でも大切です。
価値観は、物事の価値を判断する際、基準となる個人の考え方のことです。
自分が素晴らしいと思ったり、経験して良かったと思えることには、自分の価値観が隠れています。
価値観には個人差があります。同じものごとでも、価値を感じるかどうかは様々です。自分のモチベーションの源泉となっている価値観を理解すれば、自分のやりたいことを探すヒントにもなります。
商品を売り込むときのポイントは、商品の特徴とその商品を買うことで得られるメリットを伝えることです。自己PRは商品を売り込むポイントと似ています。自己PRは「商品の特徴=あなたのこれまでの成果」と「商品を買うメリット=入社後のあなたがどのような成果を上げられるか」について、履歴書やエントリーシート、面接試験を通して伝えることです。多くの学生の中から採用されるためにも、自分の強みや魅力を、自分の言葉で積極的にアピールしましょう。
具体的なエピソードをアピールする!
「責任感がある」「明るい」というだけでは説得力がないし、他の学生との差異化が図れない。自分のPRポイントを裏付けるエピソードを用意して、自分自身が取った行動について具体的にまとめよう。
絞り込んでわかりやすく伝える!
自分をよく見せようと欲張って、いくつも強みを挙げると、「結局何が強みなのか?」が伝わりにくくなる。また、よく見せようとオーバーに表現しても、その後の質問で上手く答えられなくなってしまうと良い評価につながらない。
求める人物像に関連付ける
志望業界や志望企業に応じて自己PRを変えることも必要。その企業の求める人物像や募集職種と自分のPRポイントを上手く関連付けるようにまとめよう。
自分自身の言葉で表現する
大きな声で「これだ!」と言える自己PRがないと思う場合は、表現のしかたやキャッチフレーズのようなものを自己PRの中に組み入れるなど、自分自身の言葉で自分の長所や強みを表現するようにしよう。
自分のことは意外とわかっていないものです。ですから、この際、いろんな問いを投げかけて自分自身を知ってください。例えば…
「自分を動物に例えると?」「好きな花は?」「好きな歌・アーティストは?」
「好きな言葉は?」「友人や家族からどんな人といわれることが多い?」などです。パッと動物や花の名前や曲のタイトルが浮かんだら、なぜそう思ったのか?きっかけや理由を考えてみましょう。実は、きっかけや理由の中に自分らしさや、大切にしたい思いや考えが潜んでいるのです。
また、自分一人で考えるだけでなく、友人や家族にどのような印象を持たれているかを聞いてみると、気づいていなかった自分の強みや魅力を見つけることもできます。ぜひ、堅苦しく考えず、楽しさを味わいながら自分自身の理解を深めていきましょう。
先輩たちの多くは、自分の強みや経験したことを書き出したり、志望企業についてまとめたりするために、就活ノートを作っています。
体験したことや考えたことを記録することが、自分自身の客観的な観察につながります。ポイントは2ステップで行ってみましょう。
STEP1 体験したこと、考えたことを記録する
(例)
①自分なりに頑張って書いたレポートの評価が予想外に低く、ショックだった
②アルバイト先の店長に、接客のしかたが良かったと褒められて嬉しかった
STEP2 記録したことを振り返り、気づいたことや学んだことをまとめる
(例)
①評価が低かったのは2つの理由だとわかった
・所定の字数にはなっていたが、内容の整理が十分できていなかった
・特に力を入れて取り組んでいる科目だったので、評価が低かったことより
自分の取り組みが甘かったことに対して情けないという気持ちが強かった。
②「笑顔で自分からあいさつをする」は、接客をする際に一番大切にしている
こと。それを尊敬している店長に認めてもらえたから、とても嬉しかったん
だと思う。
どんな些細なことでも、見聞きしたことから何かを感じ取ったり学んでいます。
そのときにはなかなか気づけなくても、時間をあけて振り返ることで、そのときのことが冷静に分析できて、見えなかったことに気づけるようになります。
記録を取っておかないと、振り返ることができません。ノートは、書いて終わりではなく、繰り返し活用するものなのです。
私が就職活動を行っていたときも、就活ノートを作りました。
小学生が使う「自由ノート」を使って、毎日の出来事を記録しましょう。